HOME » 自腹で潜入レポート » この相談所の潜入レポート » サンセリテ青山のお見合いレポ①「超一流の相手を前に……タジタジ♪」
サンセリテ青山での活動はかなりスローで、通常はお見合いの申込をしてもなかなか先に 進まないことが多い。恐らく、男女共に手当たり次第に見合いを申し込むこともないし、それを受けることもないからだろう。誰もが身上書(プロフィールシー ト:お見合い用の履歴書のようなもの)の中身を吟味、担当カウンセラーと相談し、「この人なら」と思えるお相手にしか会わないようだ。手当たり次第に会う ことをしない分お見合い成立の確立はぐっと低くなるが、その分互いにミスマッチの可能性も低くなる。とはいえ、百聞は一見に如かず。会わなきゃ分からない ことのほうが、実は多かったりもする。
一方、パーティーなどで出会った場合は身上書が後付けになる。個人の社会的スペックよりも、本来その人が持つキャラクターが運を左右することになる。だから、改めて身上書を見てびっくりすることも珍しくはないのだとか。私もそんなひとりだ。
パー ティーでお会いした方と相互マッチングが叶った私はお見合いをすることになった。パーティー時に趣味については軽く話していたので既にインプット済みだっ たが、それ以外のことはあまり話せなかったので知らなかった。そしてお見合い当日、2人きりになる前にお相手の身上書(プロフィールシート)を見せられて 驚いた。
全てが、超一流……。
私が見合いを切望した王子様は、生まれながらの正真正銘のサラブレットだった。
ヤバい。三流以下の愚民の私にはちょっと敷居が高すぎる。
私は焦った。けれど同時に、心の中では小さくガッツポーズをしていた。
サ ンセリテ青山の男性会員はあらかじめ「厳しい入会基準」というフィルターにかけられているわけで、どなたであっても世間一般で言う富裕層に該当する。だ か ら、社会的スペックを見せられて気持ちが萎えてしまうことは考えにくい。けれど、それとは逆に、あまりにスペックが素晴らしすぎてこちらが気後れしてしま うことがある。けれど、そんな方に見初められた(お見合いを受けてもらえた)のは、この上なく嬉しい。デリカシーのないダメ男に見初められたんじゃない。 一流の中で育った一流を知る男性に興味を持ってもらえたという事実が、私のテンションを上げた。
お見合いの時間が来た。担当カウンセラーに誘われるまま、私はエレベーターホールに移動。そこには王子様と彼の担当カウンセラーがいた。軽く会釈し挨拶が終わると、王子と私はそのままエレベーターに乗せられた。
驚 くほどあっさりとカウンセラーたちに見送られた私たちは、エレベーターの中で改めて自己紹介をした。普段なら男性と2人きりでいてもさほど緊張しないの に、この日の私は照れ隠しをするので精一杯だった。あれこれ考えれば考えるほど緊張が増し、考えるまいと思えば思うほど余計に考えてしまう。これはマズ い。お相手に軽くお断りをして、大きく深呼吸をしてエレベーターを降りた。
カフェへの移動が済み、オーダーも終わった。いよいよ、お見合 い本番だ。以前ある友人が「お見合いって、面接みたいだよね」と言っていたが、本当にそうだ と思った。面接官は、もちろんお相手。私じゃない。アルバイト や就職、転職の面接はこれまでに何度か経験しているが、こんな面接は人生初。パーティーが一次面接だとすると、お見合いは2次面接。これに合格すると、内定通知や仮採用通知の代わりにお相手の電話番号とメールアドレスが渡される。そして、試用期間(お付き合い)を経て、正式採用(結婚・成婚)となるわけだ 。そう考えれば、「結婚=永久就職」というのも、確かにうなづける。そんなくだらないことを考えながら、オーダーした飲み物を待った。
どち らが先に話を切り出したかは覚えていない。とにかく、それを記憶できるほど、私に余裕はなかった。けれど、先日開かれたパーティー話がキッカケだったこと は覚えている。あまり時間がなくて話せなかったとかシュークリームが美味しかったとか、内容は当たり障りのないものだったが、このおかげで気分が少し落ち 着いた。
お互いの緊張がほぐれると、ようやくお見合いらしい会話に。家族のこと、結婚後のビジョン、趣味や仕事、価値観などについて話 し、相手の話に対しての意見や感想を述べあった。質問はお相手のペースにお任せして、それに対して私は回答。それが終わると「○○さんはいかがですか?」 という繰り返し。たまには変化球で私から質問を投げかけることもあったが、全体的にお相手のリードに従った。
コミュニケーション能力の低 い男性と話す時は、主導権をこちらが握らざるを得ない。そうしないと話が全く進まずお通夜のような雰囲気になってしまうか、とんでもない話題を無茶振りさ れて困惑することになる。けれど、コミュニケーション能力の高い男性と話す時はお相手に主導権を握ってもらえばいい。それで万事うまくいく。もちろん、全 て男性任せにしてしまうのは良くない。自分の意思を持っていない人だと思われてしまうかもしれないし、コミュニケーション能力が低いと勘違いされてしまう こともあるからだ。このさじ加減が難しい。コミュニケーション能力の有無や「私」というキャラクターが何気ない会話の中で推し量られると思うと怖い気もす るが、これはお見合いに限ったことではない。人間関係とはそういうものだ。今更取り繕ったところでどうなるものでもない。ネガティヴな意味ではなく、ポジ ティヴな意味で開き直ることも必要だと痛感した。
予定では1時間 程度のお見合いのはずだったが、気付けば優に2時間を越えていた。お相手はどう思っていたか分からないが、終始冷静でいられなかった私は少し話しすぎたと 反省。謝らなくてもいいのに、ついつい「ごめんなさい、おしゃべりで」と言ってしまった。そのことに、また自己嫌悪。こりゃ、ダメだ。けれど、お互いに ずっと笑顔だった気がした。私は話していて楽しかったし、この人なら素直に尊敬できるなとも思った。漠然とはしているが、何となく結婚生活もイメージでき た。この時、私個人のお返事は既に8割がた決まっていた。
そろそろ帰ろうかという時、お相手がお手洗いに行くと言って席を立った。私はグ ラスに残ったお冷を飲んで、お相手が戻ってくるのを待った。少ししてお相手が戻ってきて私たちはその店を出ることになったのだが、気付けば既にお会計が済 んでいた。何とスマートなこと。これがお見合いのお返事の決定打となった。
お財布事情や金銭感覚は人によって大きく違うので、お見合いの 際のお会計は意外と難しい。たとえば、きっちり割り勘にしたがる人もいるし、男性が奢るのが当たり前だと言う人もいる。また、人によっては誘った側が奢る のがマナーだと言い張るケースもある。だから、お相手のプライドと自分のプライドを上手く保ってさらっと済ませてしまうのが賢い方法だ。けれどそれが上手 く出来ないという人は少なくない。お会計伝票を持ったまま入口付近でモゴモゴするのが悪いわけではないが、決して格好良くはない。何事もできればスマート にそつなくこなしたい私はそういうのが苦手だ。会計前に支払い方法を決めてからしか本来動きたくないのだが、それを分かってくれる人ばかりではないので、 最近は諦めている。けれど、お相手はその作業をほんのわずかな間にすべてひとりで済ませてしまった。これはポイントが高い。
お店を出て私たちは駅まで並んで歩いた。そして、そこで解散。「また機会があれば、是非」なんて、愛想も可愛げもない挨拶をしてしまったことが悔やまれるが、もう済んでしまったことだからどうにもならない。あとはお相手次第だ。
一晩ゆっくり考えて、私は翌日サンセリテ青山に連絡をした。
「また、お会いしたいです」
そう担当カウンセラーに告げた。