HOME » 自腹で潜入レポート » この相談所の潜入レポート » マリックスのお見合いレポ①「イメージに違いが……主張もリードもまるでナシ!」
お見合いはマリックスの事務所で行われた。エレベーターを降りマリックスの入口へ向かっていると、事務所の中から1組の男女が出てきた。おそらく、お見合いを終えこれからお茶でも……と出てきた2人だろう。すれ違いざまに、女性と目があう。私よりも断然年上に見えるその女性は、厳しい目線で私の姿を上から下まで眺めて横を過ぎていった。「明日の敵」とでもいったところなのだろうか。おー、怖い。
初のお見合い相手は大手メーカーにお勤めの方。写真では真面目なサラリーマン、といった風貌で、きりっとした目に口角のあがった好青年だ。お見合いが始まる前に担当者からお相手のフルネームの入った経歴書を渡され、お相手の待つ個室部屋へと案内された。部屋に入ると、すでにお相手の方が待っていた。
「はじめまして」
私が挨拶をすると、お相手が振り返った。
……あれ!?
私がお見合いを申し込んだのって、この人だっけ??
写真と別人じゃない???
目の前にいたのは、凛とした好青年ではなく、気の弱そうな男性だったのだ。私は思わず身上書を確認してしまいそうになった。身上書に使っている凛々しい写真は、マリックスの提携スタジオで撮ったものだろう。スタジオの腕のよさが裏目に出た、といえそうな写真と実物の違い……。私も同じくプロに撮ってもらった写真を身上書に載せている。お相手にも同じように思われているのだろうか……。
好青年をイメージしていた私は、お相手の顔を直視できないまま着席した。「どうぞごゆっくり」と言って担当者が消え、狭い部屋に向かい合う。会話もほとんどなく、非常に気まずい重い空気が流れる。
私:「お仕事は○○なんですね、具体的にはどんなお仕事をされているんですか?」
お相手:「え~特に……データ整理とか……」
私:「ご趣味は音楽なんですね、どんなジャンルをお聞きになるんですか?」
お相手:「クラシックでは……ないです……」
……会話が続かん!
お互いに話のきっかけを探すことに精一杯で、相手の顔を見るよりも身上書とにらめっこする時間のほうが長くなってしまった。趣味、出身、仕事、家族構成など身上書に書いてあることをすべて聞き終えるのに、そう時間は必要ない。30分という時間が、こんなにも長いものかと思えてきた。
「そろそろお時間です」と、スタッフが現れ、強制的に部屋から出された。会話も続かなかったから、ある意味救われたけど(苦笑)、なんだかものすごく事務的な感じ。お見合い初体験の私は、この後どうすればいいのか(担当者に挨拶して帰るの?それとも2人がOKだったらその後どこかにいくの?)わからなかったのだが、お相手の男性は当たり前のように事務所を出て行った。困った私はお相手の後を追いかけ声をかけてみた。
私:「この後ってどうすればいいんでしょうか?」
お相手:「あ、いや、外で……」
私:「このまま事務所を出ちゃって大丈夫なんですか?」
お相手:「あ、はい、大丈夫……です」
どうやらお相手は何度かここでお見合いを経験しているようだ。ひとまず、お相手について外に出た。向った先は、事務所の入ったビルの下にある小洒落たオープンカフェ。そこで一息つくことになった。カフェに着くと店員が「中と外がありますが、どちらにいたしますか?」と尋ねてきた。
お相手:「あ~……えっと……どっちが……」
私:「いい天気なので、外がいいですね」
お相手:「あ、じゃあ外で……」
席に着くと、店員はカフェタイムだけのお得なドリンクバーを勧めてきた。これにも、お相手は「じゃあ……それで……」と回答。自己主張も、リードもない。これには参ってしまった。何を話すでもない、そんなこんなで小一時間が過ぎた。
これ以上、間延びした雰囲気に耐え切れないと判断した私は、昼からビールを頂くことにした。アルコールも入り、少し饒舌になった私は、お相手の仕事や家族のこと、妻に求めることなどを聞いてみた。しかし、一つひとつの答えにすら自己主張をまるで感じない。結婚する意志があるのかすら疑わしく思えてくる回答ばかりだった。ビールを飲み干し、聞くことも尽きた頃、私から「そろそろ帰りましょうか」と切り出した。
帰り際の駅までの道。右と左に分かれているけれど、どちらにしたって大差はない。それでも、お相手はどちらに進むのかを自分で決められない。
……ごめんなさい、私にはムリです。
「どうか、お幸せに」と願いつつ、私は帰路についたのだった。