HOME » 自腹で潜入レポート » この相談所の潜入レポート » オーネットのお見合いレポ⑥「『省エネ』タイプとのお見合いは体力勝負!?」
6人目のお見合い相手Fさんには、女性に選ばれにくいマイナスポイントが2つある。
ひとつは髪の毛が薄いこと。それでも私がFさんに興味を持ったのは、その薄いアタマを隠すどころかオープンにしていたから。
どう見てもカッコいい前頭部ではないけれど、その堂々としたところに潔さを感じFさんがカッコよく思えた。
そして、もうひとつ選ばれにくいマイナスポイントが年収の低さ。結婚を考える女性にとって男性の年収は、重要な判断基準。それなのにFさんは、あえて低収入を選んでいる気がしたのだ。
というのもFさんとメールをしていると、仕事がいかに楽しく、誇りとプライドを持って臨んでいるのか、Fさんの充実ぶりが伝わってくるのである。仕事の詳細まで分からなくても、彼の熱い思いがまっすぐに伝わってきた。
これまで会ってきた人は、どんな仕事をしているかを話すことはあっても、どれだけその仕事が好きかまでは伝わってこなかったぶん、Fさんの仕事に対する情熱には惹かれた。
Fさんとの初お見合いは、某公園での散歩だった。
「私は、ケチなわけではないんですよ。ただ自分にお金を使うのがイヤなんです。お金は友だちや家族と一緒のときこそ使いたい」
と、“公園を歩く”というお金のかからないお見合いを理解してもらおうとするかのように話した。
だけど、このお見合い方法を選ぶのって、ケチだと思われてもおかしくないような……。
というか、むしろ「今」がお金の使いどきなのでは?
倹約家は嫌いじゃない。Fさんの会社にお弁当を持っていくという話も好感が持てた。しかし、ここはお見合いの場。初めから倹約ぶりを見せられたら、一杯のお茶を飲むのすら敬遠してしまう。それにFさんの「お金を使うとき」発言から、私はFさんがお金を使う相手としてふさわしくないの? と思った。
そんな「省エネタイプ」のFさんは歩くことが大好きで、私たちはずいぶんと歩きまわった。とはいえ、Fさんもさすがに疲れてきたようで、カフェに入って休むことに。
お金についての話をされていたものだから、私は自分の飲み物代を支払うことにしていた。だけど、Fんは「飲み物くらい奢りますよ(笑)」と言い、私の分の飲み物代を支払ってくれた。
飲みものを奢ってくれたということは、少しは私にお金を使う気があるらしい。
もしFさんと結婚したら、たくさんの貯金ができる夫婦になれそう、そんなことを思い、私は再度会う約束をした。
初めてFさんに会ってから1週間くらいが過ぎたころ、2回目のお見合いをすることに。
Fさんは、「仕事で最近出てきたばかりだから、東京のことはあまり分からない」と話す。それでもお見合いをするからには、男性である自分がリードをするべきと思ったのだろう。Fさんは、2度目のお見合いプランを計画してくれた。
プラン内容は、2人の共通の趣味である映画鑑賞に行くことまでは教えてくれたが、作品や劇場については当日まで秘密。映画の後に食事するお店も、Fさんが探してくれるという。
* * * * *
待ち合わせは夕方。
約束の場所に到着すると、Fさんは文庫本だけが手荷物という身軽さで立っていた。このシンプルさ加減は、なかなかよい感じ♪
これから見る作品は何か尋ねてみると、以前、Fさんが観たいと話していた青春モノだった。
映画館に向かう途中、「今日は朝から新宿にいたんですよ~」と話し出すFさん。
どうやらFさんは、待ち合わせや映画館の場所を事前に確認しただけではなく、食事する店まで徹底的にリサーチしていたのである。
「いろいろと道に迷って、まだお昼ご飯も食べられていないんですよ……」
ん!? 食事抜きでの下調べって、どんだけ歩き回ったんだ!?
Fさんは歩くのが好きだ。本人いわく、1ヶ月以上歩き続けたこともあるらしい。だから、どれだけ歩いても苦にならないのだとか。しかし、ご飯を抜いてまで下調べやチケット購入をしてくれていたことに気が引けた私は、「Fさん、お腹空いていますよね? スナックとドリンクは私が奢ります!」と言った。するとFさん、その提案をすんなりと受け入れた。奢られることに、抵抗を感じないらしい。
* * * * *
映画が始まるまでの間、Fさんは自分の涙もろさについて語っていた。そして、感動シーンでは話していたとおりに号泣! さらに鼻水をすする音が聞こえてくる。相当、Fさんのツボにはハマってしまったらしい。
正直、宣言どおりに泣いたFさんが、イヤラしいと思った。「僕って感動屋さんでしょう!?」と尋ねられている気にさえなった。やっぱり男の涙は、そんなに露骨じゃない方がいいですよ……。
映画の後は食事。軽く道に迷いはしたものの、Fさんのリサーチの甲斐あって店には到着することができた。すでに予約されていたお店は、創作料理店。そして通された席はカウンター。
個室やテーブル席でないことを不思議に思っていると、Fさんは私と向き合って座る勇気がなかったという。私は、個室に空きがない場合に通されるのがカウンターだと思っていたから、目を見て話せないという理由でカウンター席を予約するというのは、新しい発見だった。
食事を済ませた後(ちなみに会計は、Fさんが3分の2、私が3分の1程度を支払った)は、「さよなら」と思いきや、まだプランが残っているという。
この日のお見合いは12月。クリスマスのイルミネーションを見に行くというのだ。夜も更けてきたが、せっかくリサーチしてくれたのだから、誘いに乗ることにした。
ところが。歩けど歩けど、その目的地には辿りつかない。もう30分以上は歩いている気がする。歩くのが好きなFさんには、どうってことないだろう道のり。一方こちらは、お見合いだからと気合を入れた、ふだん履かないようなヒールである。これだけ歩けば、さすがに足の裏も痛くなってくるというもの。
私とFさんは、ようやく目的地周辺に辿りついた。途中、危うく目的地を示す看板を見過ごしそうになるなど苦労したこともあり、どれだけキレイなイルミネーションが見られるのだろうと期待が高まった。
ところが、目に入るのは通り沿いに飾られている小さめの灯りだけ……。
イルミネーションを探したくても、最終電車の時間が迫ってきている。結局、見ずに帰ることになった。
散々歩いてヘトヘトの状態で帰路についた私は、自分の体力のなさに唖然。Fさんの歩きについていくのは無理だと実感しながらも、効率良く目的地を探す方法はなかったものか考えていた。タクシーを使えば運転手が案内してくれたはずだし、人に聞けば道を教えてくれたかもしれない。
自分もかなり要領が悪いが、Fさんも相当である。
きっと私とFさんが結婚したら、倹約夫婦になる前に今回のように路頭に迷う夫婦になってしまうかもしれない。それに「省エネタイプ」と付き合うには、かなりのエネルギーが必要である。そう考え、ドッと疲れた私は、さらなる再会を断念した。